2007年12月6日薬煎院薬局から

 これから本格的な風邪の季節を迎えますね。今日は、お子さんが風邪をひいて発熱した時に特に気をつけるべきこと(最低限知っておいてほしいこと)について触れておこうと思います。

 子供は元気ですから、寒い外でも元気よく遊びますが、汗をいっぱいかいてそのままにしておくと、汗の気化熱で体温が奪われて体が冷えてしまいます。また冬はお風呂から上がった後で頭を良く拭いてあげないと風邪をひきやすくなりますから注意が必要です。特に空気が乾燥する冬は、外から帰ったら手洗いの他にうがい(嗽)なども重要ですが、いろいろと用心していても、もしお子さんが夜中に急に発熱したら、お父さんお母さん方はどうされるでしょうか。

 39℃位まででお子さんが比較的元気そうであれば、タオルで頭を冷やすなどして少し様子を見た方が良いのですが*、40℃を超えるようであれば小児科に駆け込む必要があります。近くに病院がなくて次の日の朝に行かれるのであれば(待てそうであれば)薬を飲ませることになりますが、そんな時、決してやってはいけないことがあります。

*乳児の場合は直ちに小児科(急患センター等)に行くようにしてください。乳児の38℃の熱はかなり重篤です。

 ごく当たり前のことですが、「大人用」の薬を与えてはいけません。「分量を減らせば大丈夫」と思って飲ませると、取り返しのつかない大変なリスクを冒すことになります。初めてのお子さんであれば、心配になって急患センターに行かれる方も多いのですが、2人目、3人目のお子さんとなると父さんお母さんも慣れてしまい「大人用の薬をあげて様子を見よう」と思われるかも知れませんが、そこに大きな落とし穴が潜んでいます。

 お医者さんや薬剤師なら知っていることですが、お子さんが風邪の時に(特にインフルエンザ等の場合)「アスピリン」のような(サリチル酸系の解熱剤が入った)薬を与えると、稀に「ライ症候群」という重篤な症状をひき起すことがあります。アスピリンに限らず、サリチル酸ナトリウム、サザピリン、サリチルアミド、エテンザミド等の薬剤も15才以下の子供には使ってはいけないことになっています。
 (余談)誤解のないように、「ライ症候群」は、ハンセン病の昔の呼び名の「ライ病」とは違います(こちらはライ菌による感染症です)。ライ症候群は、急性の脳浮腫や肝等への脂肪浸潤などを引き起こす、死亡率が高いものです。
 さらに付け加えて、「ピリン系アレルギー」などのように、ピリン系の解熱鎮痛剤に敏感な人がいますが、アスピリンはピリン系ではありません。ピリン系とはピラゾロン骨格(分子構造)を持った薬をいい、アスピリンはこの骨格を持っていません。

 特に子供がインフルエンザにかかると(インフルエンザの場合は、急に40℃近い熱が出ます)、適切な手当てを行わないと病態が急変して最悪の場合死に至ることもあります(およそ2日)。そうならないためにも子供が熱を出したらお医者さんに掛かるのが一番です。そしてもし、ご自宅でお薬を準備されるなら、せめて「小児用」と書かれた風邪薬か解熱剤を大人用とは別に準備するようにしてください。小児用には安全性が高い「アセトアミノフェン」という解熱剤が入っていて、この薬は日本小児科学会でも推奨されています(アセトアミノフェンは大人にも安全な薬です)。そして小児科に行ったら薬を飲ませたことを必ず先生に伝えてください(これは薬の二重投与を避けるために必要なことです)。

 最後に、解熱剤(げねつざい)は役に立つ薬の1つですが、取り扱い方がやや難しいところがあります。子供では比較的少ないのですが、解熱剤を飲むことにより、稀に喘息がひき起されることがあります。「アスピリン喘息」などと呼ばれています。「アスピリン喘息」はアスピリンだけで起こるものではなく、いろいろな解熱剤(NSAID)で起こり、喘息患者の10人に1人はこの「アスピリン喘息」といわれています。喘息がちでドラッグストアーで薬を買って飲んだら、余計にひどくなった経験のある方は疑ってみる必要があります。

2007年11月27日薬煎院薬局から

 私はキッズプレイスの薬局で薬剤師をしています。時々、小笹長丘保育園にお邪魔して、園児さんたちの様子を見ています。園では、保育士の先生方や園児さんから「漢方先生」と呼ばれています。自分ではこの呼ばれ方が気に入っています(笑)。さて、このブログをご覧のお父さんお母さん方の中にも、タバコを吸われている方がおられるのではないかと思います。今日は、専門的な立場からタバコのことについてちょっとだけ書き込みします。

 テレビの情報番組などでも時々取り上げられていると思いますが、小さなお子さんがいる家庭では、お父さん(お母さん)がタバコを吸うと、子供さんが副流煙を吸うことになり、当然ながら健康にはよくありません。妊娠しているお母さんがタバコを吸ったり、副流煙を吸うとお腹の赤ちゃんが流産したり、難産になる確率が高くなることもよく知られていることです。たとえ赤ちゃんが生まれたとしても、突然死症候群や奇形といった問題もつきまとう可能性がたかくなります。タバコの副流煙ですが、1000種類近くの化学物質が含まれ、分かっているだけでも40種類の発がん性物質が確認されています。

 タバコを吸われる方は、たばこの害が分かっていてもなかなか止められないようですね。私はタバコをすいませんが、それだけタバコが美味しく感じるのだろうと思います。また、タバコを吸われる方の多くはお酒も好きな方が多いようです。そんな愛煙家の人に質問すると、お酒を飲みながらタバコを吸うと、とてもタバコが美味しいと言う答えが返ってきます。しかしこの行為が命取りとなります。

 タバコを吸いながらお酒を飲むとガンになる確率が劇的に高まることが分かっています。アメリカの医学誌だったと思いますが、数年前にタバコを吸う人と吸わない人、またお酒好きの人とお酒を飲まない人のそれぞれの人たちについて学術的な調査が行われ、結果が報告されました。それによると、タバコに加えてお酒好きの人の組合せが最もガン(咽頭ガン、食道ガン、胃ガンなど)の発生率が高いことが分かりました。詳しいデータをはっきりとは覚えていないのですが、確率的に両方たしなむ人は、お酒も飲まず煙草も吸わない人い比べ20?50倍程度、また同じタバコを吸っていても、お酒を飲まない人に比べて、4?10倍程度、ガンになる確率が高くなっていたと思います。この調査データを端的な言葉で言い換えると、酒好きの愛煙家は、いずれほぼ間違いなくガンを発症するということを示しています。

 タバコとお酒でガンになる確率が飛躍的に高まるメカニズムは次のように考えられています。タバコに含まれる化学物質は発ガン物質を含めてアルコールに溶けやすい性質を持っています。タバコを吸うと口の中にタバコの化学物質が残りますが、お酒を飲むとにより、これらの成分が毎回きれいに洗浄されて胃へと流し込まれることになります。一方、アルコールは、喉や食道の壁を傷つけ、胃の粘膜を洗い流す性質を持っています。それゆえ、タバコを吸ってお酒を飲むと、喉や食道の壁が傷つけられると共に、胃壁は粘液を洗い流され、発ガン性物質に直接さらされることになります。

 会社などでストレスを感じている人は小さな胃潰瘍を持つ人が多いので、そのような人がタバコを吸いながらお酒を飲むのはとても危険といえるでしょう。
 上記では咽頭ガン、食道ガン、胃ガンにしか触れていませんが、肺がん等の危険性も別にあることを忘れてはいけません。ちなみに、1個の細胞がガン化して1センチ角の大きさに成長するまでには10?30年ほどかかりますが、1センチ角のガン組織がソフトボール大の大きさになるのはあっという間(3年くらい)です。この大きさになる頃には、ガン細胞が体中に転移して手遅れなことが多いです。タバコ好きで、お酒好きの人ほど定期的な健康診断が欠かせないと思いますが、なによりもタバコを止められることをお勧めします。

 愛煙家の人が、生きてお孫さんの顔を見るためには、ほんの少しの勇気が必要なのだろうと思います。

2007年11月17日薬煎院薬局から

キッズプレイスのお子さんのために、子育てに役立ちそうな情報を薬局からブログに流させて頂いてます。私は父親として子育て参加中の薬剤師です。子育てでお悩みがあれば知恵を絞って回答させて頂きます(もちろんお金はかかりません ^^;。

今回はお子さんがなかなか寝付かなかったり、夜更かしをして困る、また夜中に起きて夜泣きをして困る。といった場合の対処として、ポピュラーで効果がありそうな情報を書きたいと思いパソコンに向かっています。

この方法の対象年齢は、子供(2才?)に限らず大人まで応用可能です。大人でもなかなか寝付けなかったり、熟眠できない方は(人によって個人差があると思いますが)、科学的根拠に基づいた簡単な方法なので、試されるとよいと思います。

その方法とは、寝る3?4時間前ぐらいに牛乳を飲むということです。あまりにも簡単なのでウソ臭く聞こえるかも知れませんが、牛乳を飲むと熟眠できるということが実験的に証明されています。データ的には200ccの牛乳を飲むと、お酒を飲むより質の高い睡眠が得られることが分かっています(統計学的な有意差あり)。

ヒトの脳ミソは、ニューロトランスミッターと言われる神経伝達物質でコントロールされています。研究の結果からいくつかの種類が見つかっていますがその中に、セロトニンと呼ばれる物質があります。セロトニンが脳内で分泌されると人はとてもリラックスした気分になり眠気を感じます。緊張を鎮めて眠気を誘うセロトニンは、体の中でトリプトファンというアミノ酸から作られるのですが、牛乳にはこのアミノ酸が多く含まれています。

牛乳を飲んでも、体の中で直ぐにはセロトニンは作られませんから、寝る3?4時間前ぐらいに飲む必要があります。お風呂上りに牛乳をコップ1杯ぐらい飲むと徐々にセロトニンが分泌され、お布団の中に入る頃には徐々に眠たくなってくるでしょう。お風呂で失われた水分補給にも牛乳はもってこいですね。
どのくらいの量の牛乳を飲むと良いかは、個人差があるのでいろいろと試してみる必要があるかもしれません。また体の中でセロトニンが作られる時、ビタミンB6を必要とします。通常の食事をしていればビタミンB6は十分取られていると思いますが、牛乳だけではどうも苦手と言う方には、ビタミンB6を含むバナナやピーナツなどを一緒に食べるとよいかも知れません。
牛乳は、カルシウムが含まれているため、神経の興奮も鎮める働きが期待されます。余談ですが、不眠症の方のための漢方薬には、カルシウム源として牡蠣の貝殻や竜骨と言われる石膏成分が少量使われます。神経質な方にも牛乳のカルシウムはお勧めです。

どうですか、牛乳飲めそうですか?いろいろ考えると牛乳は朝飲むより夜飲んだ方が良いのかも知れませんね…。どちらにするかは読者の方にお任せします。

なお、最近はサプリメントによってトリプトファン等の必須アミノ酸やビタミンB6を手軽に求めることができますが、私自身は、基本的に病気以外でのサプリメントでの摂取は感心できません。食事や牛乳のように自然な形でバランスよく体に摂るのが一番だと思っています。少々専門的な話になりますが、純度の高いアミノ酸やビタミンを単体で体に補給し続けると、腸管膜における吸収機能自体が低下していく(ダウンレギュレーションのようなことが起きる)のではないかと危惧しています。特に小さいお子さんにへのサプリメントは気をつける必要があると思います。

2007年11月12日薬煎院薬局から

 子を持つ親としては、自分の子供の将来について心配ですよね。ブログを書いている私もその一人です。
 振り返ると私自身も「勉強しなさい」と両親から耳にタコができるほど言われました…。キッズプレイスに時々お邪魔しますが、小さなお子どもたちが机で文字や数字の勉強している姿を見るとほほえましくなります。
 今日は、小さなお子さんの子育てにすぐに役立つ内容ではないかも知れませんが、勉強のことについてブログを書いてみたいと思います。

 私自身の偏見に満ちた?考え方かも知れませんが、勉強そのものはテクニックの問題(勉強の仕方の問題)だと思っています。
 昔から「学問に王道なし」と言いますが、王道でなくても「コツ」さえつかめば「面白くて楽しい道」にすることはそれほど難しいことではないと思います。人間楽しければ、人から「やめなさい」と言われても突き進むようになります。私の知人に勉強好きのお子さん(中学生)がいて、両親が「勉強はほどほどにして遊びなさい」と言っても四六時中勉強して困っているそうです。「勉強をやめて早く寝なさい」というと寝床の中で懐中電灯をつけて本を読んでいるらしく、本人は勉強が楽しくて仕方がないらしいのです。

 大学時代のことですが、私は中学生3年生の子供の家庭教師をしていました。当時は(今もそうかも知れませんが)偏差値によって行ける高校が決まりました。先輩の紹介でしたが、偏差値44くらいのお子さんの家庭教師をすることになり、8ヶ月後に69の高校にすんなりと合格しました。両親にはものすごく感謝され、特別ボーナスとして中古の軽自動車をお礼にもったことがあります。大学生の私には嬉しいプレゼントでした。

 この子にどのようにして勉強を教えたか、皆さん興味がありますか? 実のところ最初から全ての教科について教えるようなことはしませんでした。当初は「理科」だけについて、その子が理解して「なるほど」と納得して、ニッコリと笑うまであらゆる事例を引っ張り出して徹底的に教えました。これによりその子の理科の成績は急上昇し、1?2ヶ月ほどで無理なく95?100点をとれるようになりました。
 この子の場合、理科を教えるというより「ていねいに解説した」といった方が正しいかもしれません。誰でもそうだと思いますが、理屈もわからず詰め込まれるのは苦痛です。しかし理屈がわかりればだんだんと楽しくなります。

 理屈を知ることの楽しさが分かれば、あとは各教科のポイントについてエッセンス(要点)を教えるだけで、興味を持って勉強をするようになります。つまりその子は、それまで苦しい道と感じていた勉強を楽しい道に変え、知ること(学問をすること)の楽しさを知ったわけです。小さなお子さんでも理屈は同じで、楽しいと思わせることは大切だと思います。

 話がかなり飛びますが、これからの世の中の変化を考えると、今後は勉強だけが大切とは言えないかも知れません。今の子供たちにとって「別の能力」が、を生きるために必要になるのではないかと私は思っています。なぜなら(私自身、)勉強は、沢山ある生き抜くための方法の選択肢の1つに過ぎないと思うからです。
 詳細は割愛しますが、別の能力とは、将来の危険を察知したり、自分の将来のストーリー(物語)を紡ぎだす力ではないかと思っています。

 これからの社会はあらゆる意味でますます厳しさを増します。人口爆発と言われるように、世界の人口はあと40年ほどで現在の2倍の100億人に達します。人口が増えれば食糧問題や環境問題が深刻化し、貧富の差による生活水準の差がますます拡大すると思われます、最悪の場合、大規模な戦争になるかも知れません。
 一方で、今の日本のような少子高齢化が続けば、子供たちが大人になった時、重い税金に苦しむことになると思われます。また、若い労働人口に欠ける日本は、労働力を海外から出稼ぎに来た(あるいは移民して来た)外人に頼らざるを得なくなり、治安の悪化も考えられます。

 勉強ができてよい大学を卒業したとしても、世の中を生きる力がなければ、結局は器用貧乏に陥る可能性があります。むしろ勉強が出来なくても雑草のように生き抜く力があれば大きな財を成すことも不可能ではありません。

 今の子供達が大人になる頃のことを考えると憂鬱ですが、勉強の他にどのような能力を身につけさせるべきか考えてあげることも親の責任かも知れませんね。

2007年10月27日薬煎院薬局から

 秋になり寒暖の差も大きくなり、また空気もやや乾燥してきましたね。キッズプレイスでも咳や鼻水のお子さんも見られます。最近ブログから遠ざかっていましたが、これから風邪の季節になる前に「嗽(うがい)」についてブログを書かせて頂きますね。「嗽」と漢字で書くと難しいですが、ゲロゲロゲロ…のうがいのことです。

 風邪の一番の予防法をお医者さんに聞くと、「帰宅後の手洗いと嗽です」と答えが返ってきます。手洗いは手についたバイ菌を洗い流すという上で大事なことは分かりますが、ではなぜ嗽が大切なのか、ご存知ですか…。

 その理由は、夜寝る前に一度嗽をすると分かります。嗽をして口から吐き出す時、よく観察してみてください。最初の嗽で口から出した水は、なんだか「ネットリ」していませんか。ところが2?3回目の嗽になるとネットリ感が無くなります。

 1回目の嗽で口から出した時に糸を引くように見えませんか?これは唾(つば)だと思われるかも知れませんが、口の中(口腔内)の、特に喉の奥にに溜まっていたバイ菌のかたまりです。喉のバイ菌は、喉の奥の壁面から剥がれ落ちないようにネットリした「粘液」を出して(接着剤代わりにして)へばり付いています。嗽をすることはこの喉の奥のバイ菌をきれいに洗い流すことです。
 ブログをご覧頂いている皆さんのご家庭で、寝る前に歯磨きを習慣にされているお子さんもおられると思いますが、歯磨きだけで安心していませんか?歯を磨いて口の中をすすいだだけでは喉の奥のバイ菌は洗い流せません。せっかく歯を磨くのであれば、ついでに嗽をすることをお勧めします。

 喉の奥のバイ菌のかたまりの中には風邪の原因となるウイルスも混じっています。ウイルスは喉の粘膜から体の中に感染していきますから、嗽でこれらのバイ菌やウイルスを洗い流すことが大切になるわけです。

 嗽の方法ですが、沢山の水で一回だけ嗽するよりも、少ない水で回数を多く嗽した方が洗浄効果が高くなります。また一回の嗽に延々20?30秒かけるよりも、3秒ぐらいの嗽を4回ぐらい繰り返した方が効果的です。そして、水よりもぬるま湯で、出来れば「塩」をほんの少し入れるとさらに効果的になります。
 バイ菌は粘液を出して喉の奥にへばりついていますが、塩はこのバイ菌の出す粘液を取り除く作用があります。これは例えば、ウナギを素手でつかもうとするとなかなかつかめませんが、手に塩をつけると簡単にウナギを捕まえることができることと同じです。ウナギは体の表面に粘液を出していますが、手に塩を付けることにより粘液を取り除くことができすぐに捕まえられます。嗽する水(お湯)に塩を入れると、へばり付こうとするバイ菌の粘液を取り除いて、よりきれいに洗い流せるという訳です。
 嗽は虫歯の予防にも効果があるので、風邪の季節だけでなく習慣にした方がよいかも知れませんね。

PR:育児のことで気になることがあれば、皆さんで考えていきたいと思います。コメント、もしくは匿名メールでも構いません、気軽にご相談ください。

2007年10月10日薬煎院薬局から

 保育所の先生が規則正しい生活の大切さを書き込まれておられましたので、そのことについて気づいたことを書きたいと思いました。冒頭からクイズですが、一日の規則正しいリズムを作る一番大切な要因は何か、ブログの読者の皆さんはご存知でしょうか。最近はテレビで教養番組が増えたのでご存知の方も多いかも知れませんが、答は朝の太陽の『光』です(正確には、大光量の非常に眩しい光)。

 ごく最近の研究によって、朝の太陽の光を浴びることにより、人間の体内のスイッチが夜から昼へと切り替わることが科学的に分かってきました。大人でも昼と夜の生活が入れ替わって、体のリズムが壊れた人を治療するために、病院でも蛍光灯だらけの眩しい部屋で30?60分間ほど、ただひたすら光を見つめる(浴びる)治療が行われます。これを「光療法」と言います。

(こんな言い方をすると怒られるかも知れませんが、お許しください)、朝、公園などで朝陽を浴びると気持ちいいと張り切っている元気なお年寄りの方がおられますが、これはともすると自慢話のように聞こえますが、実はそれだけとは言い切れません。

 秋から冬にかけて、どうしても気分が塞いで憂鬱になる方がおられます。これをウィンターブルー、またはSAD(季節変動制の感情障害)などということがあります。実はこのSADの治療にも先程の光療法が行われます。つまり、SADは朝陽を浴びことによって防ぐことができます(効果は劇的だとも言われます)。

 以上のことは、大人であっても子供であっても太陽の光を沢山浴びることで、体のリズムが作られ、精神的にも落ち着いてくると言えます。人間が動物であることを考えると、動物としては当り前の反応なのかも知れませんね…。

 早起きは3文の得と言いますが、大切なのは早起きではなく、朝陽を浴びることです。結論として、小さなお子さんの健康と健全な情緒の発展のためには、「朝陽」が重要なキーワードであると言えます。マンションにお住まいの方で、朝起きても部屋が薄暗く、お子さんも眠たそうにしている環境では、(ひょっとしたら)将来的に肉体的にも精神的な悪い影響がでるかも知れません。

 (大変余計なアドバイスかも知れませんが…)もし、朝がどうしても苦手なお母さんがおられましたら、朝だけでも短時間のアルバイトをしてみてはいかがでしょうか。自分にノルマを課すことによって、朝陽を浴びる機会を作れば、自分の人生とお子さんの生活が劇的に変わるかも知れません。福岡では東京より日の出が1時間も遅いので、朝陽が昇る頃に起床する必要があるバイトは結構あるのではないでしょうか。

2007年10月5日保育所から

本日よりキッズプレイスの支援という形でブログを書かせていただきます。
キッズプレイスの先生方が多忙でなかなかブログを更新できないようですので、「雑談」を書いていきたいと思います。
私は東京の下町出身で、昭和32年生まれです。映画ALWAYS三丁目の夕日が昭和33年の愛宕町をイメージして作られたようですが、時代的にはその頃の東京で子供時代をすごしました。さすがに私が小学校に入った頃には、各家庭にテレビがありましたが、白黒でした。昭和39年の東京オリンピックのときに近くの公園で街頭のカラーテレビが出てまして、テレビに色が映るのに感動したのを覚えています。
当時は、大家族が普通で、どこの家にもおじいちゃん、おばあちゃんがいました。そして、下町特有のことかもしれませんが、地域全体で子供を見るみたいなシステムが確立されていて、悪いことをすれば、近所のおばさんに怒られるなんてのが普通でした。学校が終わると宿題をさっさと済ませて遊びに行くのですが、だいたい持ち回りで友達のうちに行くという感じでした。夕食時まで友達の家にいると、そこで夕飯を食べさせてもらってから帰るなんてこと普通にやってました。
そんなわけで、当時はキッズプレイスみたいな保育所に対する需要がなかったでしょうね。
当時の女の子は、将来の希望はお嫁さんというのが普通でしたしね。お母さんたちもお姑さんが元気なうちはがまんして、お姑さんが亡くなったら一家の中の実権を握ると考えていた人が多いでしょう。
東京と福岡では若干事情が違うかもしれませんが、現在の東京は下町でも地域の中での交流はほとんどなくなったというのが現実だと思います。時代の流れですから仕方ないかもしれません。
こんな感じで、勝手きままに思いつくまま書いていきますので、よろしくお願いします。

最後に今日はこんな日
1926(大正15)年 近衛秀麿が新交響楽団を設立、現NHK交響楽団。
1973(昭和48)年 服部時計店(現セイコー)がクォーツデジタル時計を発売。
1980(昭和55)年 山口百恵、日本武道館でファイナルコンサート。
1986(昭和61)年 日本テレビ系で「あぶない刑事」放映開始。最高視聴率26.4%を記録。
1987(昭和62)年 日本テレビ系で「午後は○○おもいッきりテレビ」放送開始。
1999(平成11)年 自民、自由、公明の3党による連立政権が発足。

2007年10月4日薬煎院薬局から

 最近は虫歯治療が格段に進歩して、ジィーとかキーという、ぞっとするようなドリルで削る方法に比べて、薬液で虫歯を溶かす方法やオゾンで虫歯菌を殺す方法など、痛くない治療法が色々と確立さています。しかし、最新の虫歯治療には保険がきかない方法も多く、嫌がるお子さんの虫歯の治療で困られているお母さんも多いと思います。

 お子さんがすでに虫歯であれば、残念ながら完全に治すのは難しいのですが、もしお子さんの年齢が0才児であれば、将来虫歯になることを予防できるかもしれません。離乳食の時期の赤ちゃんを持つお母さんがこのブログを読まれていたら、ぜひ役立ててほしいと思います。

 ご存知の方も多いかもしれませんが、実は、虫歯は人から人に伝染する伝染病です。赤ちゃんはお母さんのお腹から無菌状態で生まれてきますから、生後、誰かから虫歯菌が感染しない限り赤ちゃんは絶対に虫歯にはなりません。

 離乳食の時期になると、お子さんのためにお父さんお母さんが固い食べ物を口の中で噛み砕いて赤ちゃんにあげることが多いと思います。しかしこの時に、お父さん、お母さんに虫歯があれば赤ちゃんへと虫歯菌が伝染します。もちろん、おじいちゃん、おばあちゃんや兄弟からでも、虫歯のある人から口移しなどにより伝染します。

 赤ちゃんが2才ごろまでに、虫歯菌に感染しなければ、その後は一生虫歯になることはありません。たとえ後から虫歯菌が口の中に入ってきても、すでにお子さんの口の中には他の菌が住みついていて、新入りの虫歯菌を排除してしまいます。これを難しい言葉で細菌叢(さいきんそう)が出来ていると言います。

 親の愛情として、どうしても我が子のために、ご飯を噛み砕いたり、口移しをしたくなりますが、虫歯のことを考えるとちょっと考えてみた方がよいかもしれません。
 かたや(ご飯を噛み砕いたり、口移してもらえないことは)お子さんにとって、親の愛情を注いでもらえないことにもなりますが、その他のことでお子さんに愛情を注いであげたらよいのではないかと思います。

 虫歯は将来、リウマチなどの自己免疫疾患の引き金になったり、歯並びや背筋が悪くなる原因にもなりますから、できることなら虫歯にならないに越したことはないと思います。小さな赤ちゃんを持つお父さんお母さんはちょっと考えてみてみてはいかがでしょうか…。

2007年10月1日薬煎院薬局から

 今朝、薬局(薬煎院薬局)を開店すると、しばらくして電話がかかってきました。アトピーのお子さんを持つお母さんからで、「病院から出ている漢方薬の煎じ薬の処方箋を受け付けてくれますか?」とのご質問でした。

 私はてっきり、キッズプレイスを利用されているお母さんからの問い合わせだと思っていたのですが、話をしているうちに違うことが分かりました。その方は遠方より引っ越しされてきたばかりで、漢方薬の処方箋を受け付けてくれる薬局をお探しておられ、薬煎院薬局がキッズプレイスの薬局部門であることを知らずに、新聞広告を見て電話されてきたとのことでした。私は、そのお母さんに、どのような処方箋でも直ぐに受け付けることができるので、お急ぎでしたら処方箋をFAXして下さいとお話ししました。

漢方処方につかう生薬  漢方煎じ薬

 電話のお母さんの話では、ご自宅に漢方薬の煎じ機をお持ちとのことでしたが、薬煎院薬局ではお、専用の装置で漢方薬を煎じ、アルミパックに無菌状態でパック詰めするサービスを行っていることをお話しすると、喜ばれておられました。

 5才のお子さんでアトピーと聞くと、可哀そうで少し胸が苦しくなります。どのような処方の漢方薬か(このブログを書いてる時点では)分かりませんが、お医者さんが子ども用に飲みやすい処方を選ばれているとよいと思います。また、漢方薬がその子さんの体質に合っていて、少しずつ改善に向かえば良と思います。
 アトピーの治療はどうしても長期戦でになりますから、母さんが、副作用が少ない漢方薬を選ばれたことは、お子さんにとっても大変賢明な選択だったと思います。

アトピーが良くなって、将来お子さんと一緒にキッズプレイスに遊びに来られたらすごく嬉しいですね。

保育所から

 キッズプレイスのブログをご覧いただいている方は大半は、小さなお子さんをお持ちになるお母さんだと思います。そして、ほとんどのお母さんが例外なく、子育てを大変なことだと感じたことが一度はあるのではないでしょうか。

 特に兼業主婦として働かれているお母さんは、仕事のほかに育児や家事もこなさなければならず大変だと思います。夕食が終ってから就寝するまでの間はきっとバタバタ状態ではないでしょうか。でも、そんな必死で暮らす毎日の中で、可愛いお子さんの寝顔を見ると「明日も仕事を頑張ろう」と思える瞬間があると思います。

 一方、普通にみると、兼業主婦のお母さんに比べれば、専業主婦のお母さんの方が楽だと思われがちですが、実際はかなり違うようです。先日テレビで見たのですが、自宅で子育てと家事をこなす専業主婦のお母さんの一日の運動量を、外でバリバリと働くお父さんの運動量を比較すると、なんとあまり変わらないとのことでした。これには非常に驚きました。

 専業主婦のお母さんはこの運動量に加えて、お子さんと2人きりで過ごす時間が多くなり、いろいろな意味での精神的なストレスも加わって来ます。経験した人でないと分からないかも知れませんが、「専業」しているがゆえに社会との交わりが少なくなり、兼業主婦のお母さんと違ってストレスを分散するような仕事がなく、ストレスがたまりやすいのではないでしょうか。

 昔は、おじいちゃんやおばあちゃんがいて、家庭を守るお母さんも息抜きが出来たのですが、核家族化が進んだ今では難しと思います。最近では、孫と遊ぶのは気が向いたときだけで十分という「自由」を求めるおじいちゃんおばあちゃんも多いようです。

 医療の世界で「QOL」という言葉があります。これは「生活の質」という意味で、「Quality of? life」の頭文字を取って略したものです。

 (経済的な理由で働いている方もあると思いますが)、兼業主婦のお母さんは、自分の持つ能力の発揮の場や生きがい(働きがい)を求めて積極的に社会に交わることによりいろいろな刺激を上手くこなして行くことにより自らQOLを向上させるチャンスがあります。
 専業主婦のお母でも、周囲のコミュニティの中で活躍するなど、QOLを向上させている方もいると思いますが、もし肉体的に疲れを感じて、精神的にも閉そく感を感じているなら、一旦立ち止まって、現在の自分のQOLについて考えてみるべきではないでしょうか。日本人は男性も女性もストイックに頑張りすぎる人が非常に多いので、子育てや家事についても、時には「頑張りすぎない努力」をする必要があると思われます。そして、それは、決して悪いことではなく、「上手に長く続けていく」ために必要なテクニックだと思うのです。そしてそのような時にこそ、キッズプレイスを役立ててほしいと思います。

2007年9月14日保育所から

家族で遊園地や旅行に出かけた時に、お子さんの機嫌が悪くなって泣き出したら困ってしまいますよね?お父さんお母さんはどうされますか?ほおっておくとますますお子の機嫌が悪くなって泣き止まなくなることがありますよね。遊園地などで順番待ちをしていると、父さんお母さんも段々とイライラしてきて、泣きたくなりますよね。

こんな時、身近にあるもので子供を「あやす」ことが出来たら助かりますよね。
何度もやっていると子供に飽きられてしまいますが、最初のうちだと効果が望める方法を2つ書いてみたいと思います。

「ギャー」「ワー」「ウェー」と子供が泣いている時、子供の口に手のひらを当ててパタパタとやると、ちょうどアメリカインディアンのように、泣き声がアワワワワワ…と聞こえます。

子供にしてみれば真剣に泣いているのに、悪戯しているこちらにとっては、とてもユーモラスで噴出してしまいます。泣き方が激しければ激しいほど、滑稽に聞こえます。ついには子供自身も自分の声がおかしくて突然笑い出すこともあります。子供が泣き出すとまずいような席でこれをすると、場の雰囲気が和むこともあるので、一度試してみてはいかがでしょうか。ただし、やるときはTPOを考えましょう。

もう一つの方法は、鍵や携帯電話を使う方法です。1?2才くらいまでの幼児であれば機嫌が悪くなった時に、バックから鍵を取り出して目の前でちらつかせると、意識がそちらに奪われてしまい泣き止むことがあります。普段から子供が興味を持ちそうなキーホルダーやストラップを、鍵や携帯に付けておくと「いざ」と言う時に重宝します。3才以上であれば簡単な「知恵の輪」のようなものを付けておくと、気を引くことが出来ます。5歳以上では携帯のゲームでしょうか・・・、電池切れに用心されてください。

どんなあやし方もいつかは飽きられてしまうので、諦める前に新たなあやし方のバージョンを考えておく必要がありそうですね。頭の体操だと思ってクイズなどを考えておく意外に楽しいかもしれませんね・・・。少しお金を出せるのであれば、簡単な手品を準備しておくのもグットでしょう。

2007年9月13日保育所から

キッズプレイスでは子供たちの顔を模したロゴをトレードマークにしています。

kidspalce trademark

この可愛らしいマークですが、実は日本古来の「禅」と関係があります。
ちょっと驚きかもしれませんが、キッズプレイスの□、○、△のロゴは禅からヒントを得ています。ブログをご覧の皆さんは、下のような絵を見たことがあるでしょうか、江戸時代の禅僧・仙崖(せんがい)和尚による、墨で「□、△、○」だけが描かれた絵(禅画)です。

Sengai

英語の題名はThe Universe.(宇宙)とのこと(出光美術館蔵)。
重要文化財だったと思いますが、ご存知の方もいるかもしれません。ぱっと見で子供のいたずら書きのようですが、俗人にはちょっと分かりにくいですね。

キッズプレイスのマークはこの絵に似ています。□、△、○が禅で「すべて(宇宙)」をあらわすという仙崖和尚の深遠な知恵をちょっとだけお借りして、個性に溢れた子どもを1つの絵(ロゴ)で象徴したいと思いました。

ちなみに少し記憶があやふやだったので、インターネットで調べてみました。仙崖和尚は福岡の聖福寺(福岡市博多区御供所町6-1)の123世の住職で、人々に広く愛された「博多の仙厓さん」として知られた人で、臨終の時に「死にとうない」と言って、まわりの弟子を驚かせたという話が残っています。現在、出光美術館で没後170年の展覧会が行われています。

・・・キッズプレイスのマークに込めた本当の意味ですが、このロゴにより、全ての子供の生き生きとした個性を表現し、子供たちが保育園に集まって、互いの個性を引き立たせながら、明るく大きく成長して欲しいと願って考え出しました。ホームページやパンフレットでこのマークを見かけた時、ちょっと思い出していただけると嬉しいです。キッズプレイスの送迎車にもこのロゴを付いています。

余談になりますが、キッズプレイスのマークをプリントしたTシャツを作って、入園される子供たち一人一人にプレゼントしたいと思っていたのですが、子供用のTシャツを作るにはいろいろなサイズを揃えないといけないと思って断念してしまいました。それに、これから秋冬になるので出番が少なくなってしまいます。むしろ、お子様が卒園される時に合わせてTシャツを作れば思い出にもなるし、サイズもある程度絞ることが出来るかも知れません・・・、ちょっと考えてみたいと思います。

ロゴを含めてキッズプレイスの保育園をよろしくお願いいたします。

薬煎院薬局から

キッズプレイスでは生後5ヶ月の赤ちゃんをお預かりしています。この月齢になると、赤ちゃんはよく指しゃぶりをします。替えたばかりの「よだれかけ」も直ぐにぐっちょりです。また、このころから知能の急速な発達が見られ、同時に何でもかんでも口に運んでしまします。

時々お母さんが、赤ちゃんの指しゃぶりを見て「きたない」と心配されることがあります。しかし、これはあまり気にする必要はありません。むしろ、赤ちゃんにとって指しゃぶりは、アレルギーに負けない強い体を作るために、とても大切なことと言えるかも知れません。

赤ちゃんに限らず3?4才ころの子供たちが汚そうなものを口に入れていても、特に不潔であったり危ないものでなければ、保護者の方はあまり神経質に止めないであげてほしいと思います。もしこれを無理にやめさせると、将来的に子供たちの体がアレルギー体質となる可能性が高まる危険性があります。

私たちの体の中には、免疫を担う「Tリンパ球」という細胞があります。このTリンパ球には、体の外から入って来たバイ菌やウイルスを攻撃する「T1」と、アレルギーに関係する「T2」があります。この2つのTリンパ球の割合が、正常に保たれているとよいのですが、T1に比べてT2の割合が多くなるとアレルギー体質に傾きます。

T1とT2は、どちらかが増えるとどちらかが減る関係にあり、互いの存在割合は生後3?4才ころまでに決定されてしまい、一度決定されると、成長してもその割合は変わらないと言われています。このことは、アレルギーが治りにくい原因の1つと考えられています。

3?5才ころまでに清潔すぎる環境で育てられた子供の体は、自然とT1の出番が少なくなってT2が増え過ぎ、潜在的なアレルギー体質になります。このような体質の子供が、アレルギー物質(とアレルギーを助長する物質)に出会うとアレルギーを発症することになります。

冒頭に紹介した赤ちゃんの指しゃぶりですが、赤ちゃんは病気を発症しない程度の、ごく微量のバイ菌やウィルスを指しゃぶりをすることによって体に取り入れ、地道にT1の割合を増やし、アレルギーにならないようにT1とT2の割合を正常に保とうとしているとも考えられます。

人間の住む環境は、この半世紀で驚くほど衛生的になりましたが、人間の体の免疫システムは、私たちが野山で暮らしていた石器時代のころのままで、ほとんど変化していません。生物の進化には数千年から数万年単位の時間がかかるといわれていますが、(端的にいえば)現代人の体は未だ3000年以上前の非衛生的な環境に対応したままであり、近年50年間で劇的に整備された衛生的な環境に順応する進化を遂げきってはいないといえます。
あまりにも生活環境がきれいになり過ぎたために、人はアレルギーと言う、思いもよらぬ副作用に悩むことになったのかも知れません(この辺の詳しい話をお知りになりたい方は、東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎(ふじたこういちろう)先生の著書が刺激的でもあり、また分かりやすいかも知れません)。

最後に、誤解の無いように、
ここでは、子供たちが汚いものを触ったり、口に入れようとすることを止めないよう勧めているいるのではありません。子供たちが危険なものや本当に汚いものを触ったり口に入れようとした時は、?周囲の大人がちゃんと注意してあげるべきです。しかし「ちょっと汚いかな?」と思うレベルでは、特に口出しせずに、そっと見守ってあげる気持ちが大切だと思うのです。それは子供たちの心の成長のためでもあり、バイ菌やウイルスに負けない、アレルギーにならない丈夫な体を作るためにも必要だと思うのです。

そして、もし、お子様がアレルギーになったり、アレルギー体質(アトピーや喘息等)であれば、T1の割合を増やすように、生活や食事をコントロールする必要があります。しかし、だからと言ってバイ菌やウイルスを口にするのは大間違いです。専門のお医者様や薬剤師にご相談下さい。

2007年9月7日保育所から

キッズプレイスは、ドラッグストアでおなじみのマツモトキヨシと同じ、千葉県松戸市が発祥地です。ちなみにマツモトキヨシとは、元松戸市の市長の名前で、この方は日本ではじめて市役所に「すぐやる課」を設立した人物です(今でも松戸市役所には「すぐやる課」があって、市民生活に困ることがあれば、だいたいその日のうちに解決してくれます)。マツモトキヨシさんご本人はすでに他界されており、ドラッグストアは親族が経営している会社とのことです。

キッズプレイスの名前ですが、創設する時いろいろな名前を考えました。その時、和製英語的な名前ではなく、ネイティブの欧米人にも分かる(国際的にもある程度は分かってもらえる)、意味のある名前にしたいなと思いました。また同時にインターネットのアドレスで使われていない名前にしたい、とも思いました。

このような条件で、何がいいか名前を探しました。探し方としては、Kids、Child、Childrenという子供を意味するキーワードにいろいろな英単語を組み合わせることにしました。
Kids+Nursery、Care、Land、Garden、Home、House、Park…、3日間ぐらいいろいろ考えましたが、他で使われていたり、音の響きがいま一つだったり、意味が分かりずらかったりしました。

場所をあらわす単語で、何か使えそうな単語がないか考えていた時、Palace、Placeと組み合わせていて、kidsplaceという名前が浮かびました。
インターネットで検索すると、kidsplace.com、kidsplace.net、kidsplace.orgが存在し、欧米で使われていました。このことは「kidsplace」という単語がネイティブスピーカーの間でも通用すると思われたので、結構いい名前だな…、と思いました。

また続けて日本のアドレスに相当するkidsplace.jp、kidsplace.co.jpを検索してみましたが、幸いなことに使われていませんでした。この瞬間にキッズプレイスの名前がほぼ確定しました。
kidsplace.co.jpは法人格を持っていないと登録できないアドレスでしたが、私たちのキッズプレイスは株式会社として法人格を持っていたため、早速登録を行いました。

kidsplaceの「place」には、単に「どこどこの場所」という意味に加えて、「自分の居場所」、「城」的な意味合いがあると英語辞書に書かれていました。子供たちの居心地のいい居場所を作ることは、私たちの想いと一致しており、会社の名前にすることにしました。

…キッズプレイスの名前の誕生の由来を書きましたが、「名前」はともかく、キッズプレイスの「中身」を分かっていただけるよう、いろいろなエピソードやトピックを加えてブログに書き込んでいきたいと思います。よろしくお願いし致します。

保育所から

キッズプレイスは少しわかりにくい場所にあると思われるかもしれません。実は、キッズプレイスの保育士の先生方からもそんな指摘がありました。バス停から歩いて4分ですが、確かに園は踊りに面しておらず、少し住宅街に入った場所にあります。
これにはいくつか理由があります。
1つは交通量が多い場所であると、お子様、お母様を含めて事故の危険性があること。
2つ目は、お子様がアレルギーになる可能性を抑えるためです。

園が通りに面していると、お子様が道路に飛び出した時にとても危ないですよね。また園の前に車を止めることも難しくなります。実のところ、キッズプレイスの場所として通りに面したテナントを探していたこともありましたが、やはり危険と判断して探すことをやめました。

2つ目の理由ですが、専門家による研究結果によると、交通量の多い道路に沿って喘息やアレルギー疾患を持つ患者さんが多いことが統計的に分かっています。また、動物を使った実験により、ディーゼル車が排出する黒い粉じん(カーボン粒子)がアレルギー(喘息)を助長することが明らかになっています。カーボン粒子そのものはアレルギー(喘息)を引き起こしませんが、スギ花粉やハウスダストなど、アレルギーの素となる「アレルゲン」と一緒に体の中に入ると、免疫細胞を悪い方向に活性化してアレルギー反応を増強する方向に働きます。

長時間お子さんをお預かりする保育所の立地を考える時、できるだけバスやトラックなどが通る道路から離れているほうが、将来、お子さんがアレルギーや喘息にかかる確率を低くすることができると思われます。

専門家の間では、アレルギー症状の発症をコップの水に例えられるそうです。コップに水を注いでいくといつかは溢れてしまいますが、アレルギーの発症はこれに似ていて、一度溢れると元(コップが空の状態)には戻りません。
現在アレルギーでなくても、コップの水が少しずつ満ちて行くように、将来いつかは溢れるかも知れません。人によってそれぞれのコップの大きさが異なるので、一概に何時アレルギーになるとは言えないのです。

アレルギーを予防するには、できるだけアレルゲンや助長因子(ディーゼル・カーボン)を遠ざけ、規則正しい健康的な生活を送ることが一番です。キッズプレイス小笹長丘保育園の開設にあたり、3つ目の条件として「南側で、一日じゅう日当たりのよい場所」を探しました。

現在の園の場所はこれら3つの条件を満たした場所でした。キッズプレイスは、小笹の鴻巣山のたもとでお子様の健康にもプラスな環境です(これらの環境に加えて、園内では空気清浄機を室内に設置しています)。

キッズプレイス小笹長丘園はいつでも気軽に見学可能です。一度遊びに来てみてくださいね。