赤ちゃんを安眠させるための5つの方法

2008年1月31日薬煎院薬局から

 突然ですが、赤ちゃんの夜泣きや疳の虫は大変ですね。毎晩続くとお父さんもお母さんも寝不足が続いて疲労困憊してしまいます。
 幼児の夜泣きや疳の虫には昔から「小建中湯(しょうけんちゅうとう)」という漢方薬が有名ですが、赤ちゃんとなると漢方薬という訳にはいきません。
 そこで耳寄りな知識を1つ。米国の小児科医のHarvey Karp博士は、赤ちゃんを安眠させるための5つの方法を提唱しておられます。
(ちなみに参考になる書籍には次のようなものがあります赤ちゃんがピタリ泣きやむ魔法のスイッチ
赤ちゃんが朝までぐっすり眠る方法…)

 カープ博士は、赤ちゃんの安眠のためには、お母さんの子宮の中の環境を再現することが理想と考えました。そこで、赤ちゃんを上手に寝かせつけるに、赤ちゃんが恋しがるお母さんの子宮の中の環境を再現するための5つの方法を提唱されています。

1.Swaddling スワッドリング
赤ちゃんをタオルなどでぐるぐる巻きにしてあげること。
 赤ちゃんはお母さんの子宮の中で適度に締め付けられていたので、何も締め付けられない状態ではすごく不安になるようです。むしろ体全体を包み込むような密着感があると安心します。
北欧だったと思いますが良く泣く赤ちゃんを寝かせつける伝統的な方法として、赤ちゃんをぐるぐる巻きさせる風習があります。赤ちゃんを巻く時には専門家に指導を受けることをお勧めしますが、赤ちゃんの腕を下げた状態で、上半身を若干きつめに、下半身をゆったりするように巻いていきます。薄手のタオルを使い、苦しがるほどキツク巻き過ぎないように注意します(分厚いタオルで巻くと体温が上がり過ぎるので注意して下さい)。
赤ちゃんでなくても、小さな子供が狭い所や窮屈な段ボールの中に入ったまま出て来なくなったり、その場所で寝てしまったりして困ることがありますが、これは同じようにお母さんのお腹の中を思い出して安心するからなのかもしれませんね。

2.Shushing Sounds シャーシング・サウンド
 赤ちゃんは、「シャー」とか「サー」あるいは「ザー」と言った感じのノイズ(ラジオやTVで選局していない時に出る音;ホワイトノイズなどとも呼ばれます)を心地よく感じます。これはお子宮の中で赤ちゃんが聞いていた、母さんの血管を血液が流れるの音です。ベビー用品のお店に行くと乳児用の音が出るおもちゃがありますが、心臓の拍動音や「シャー」という音が出るものがあります。周期的に繰り返す音を聞くと赤ちゃんは安心するようです。波の音や風の音などのヒーリング用のCDなども売られていますが、赤ちゃんの個性に合わせて好みが違うかもしれませんから、何が良いか試してみるのも良いかも知れません。

3.Swing スイング
 小刻みに揺らすこと。赤ちゃんは揺らされると羊水の中で揺れている感覚を思い出します。お子さんを車に乗せてドライブするとよく眠りますが、これは、子宮の中の羊水の中で揺れている感じに似ているからではないでしょうか。キッズプレイスでも良く泣く赤ちゃんはゆりかごイスに寝かせて揺すって寝かせつけています。
注意点として泣きやんだり、喜ぶからと言って強く揺するのは絶対に良くありません。また小刻みに揺する場合も長時間(ある例では15分以上)続けることは禁物です(乳児揺さぶり症候群SBSにご注意)、ゆっくりと揺することが大切です。

4.Side or stomach lying(Side/stomach position)
 赤ちゃんを横むきあるいはうつ伏せにしてあげること。赤ちゃんを横向きにすると胃の消化を助けることにもなります。一方、当局からの通達もあり、立場上「うつ伏せ寝」を推奨することはできません。しかし、うつ伏せにすると赤ちゃんは安心したようによく眠ります。また、ミルクをもどし易い赤ちゃんも、うつ伏せにするともどし難くなると言われています。赤ちゃんがどうしても夜泣きする時などは「うつ伏せ寝」も選択肢の1つになるかも知れませんが、いきなりうつ伏せ寝を始めるのは大間違いです。最初は頻繁に様子をチェックしながら練習することが大切です。SIDS(乳幼児突然死症候群)にはくれぐれも気を付けてください。
 下に米国消費者製品安全委員会(CPCS)のうつ伏せ寝に対する警告を示しておきます。これを見ると冬場はうつ伏せ寝をしない方が安全です。

1.ベッドはアイロン台の堅さが良い
2.シーツは弛まないようにピンと張る
3.枕は絶対に使わない
4.短い袖の衣類を使う(長いと口を塞いで窒息する可能性がある)
5.何かで顔をおおうことがないようにする
6.あおむけ寝以上の注意をそそぐ

 SIDSは未熟児の赤ちゃんや喫煙されるお母さん、また母乳でなくミルクで育てている赤ちゃんにに多いと言われています。

5.Sucking サッキング
 口で何かを吸うことです。子宮にいる時でも赤ちゃんは自分の指をしゃぶっています。これは生まれた時にお母さんの乳首を吸う練習だと言われています。どうしても泣きやまない時はおしゃぶりが役に立ちますが、癖になるのでご注意を…。

以上5つに意識しながら赤ちゃんを寝かせつけてみてください。複数の要素が揃うほどおお泣きしないで赤ちゃんが寝てくれると思います。

参考までに(あくまでも体験談です。うつ伏せ寝は自己責任でお願いします)
 我が家では、首のすわりが確認出来たころから、徐々に様子を見てうつ伏せ寝の練習をはじめ、6か月過ぎてから本格的にうつ伏せ寝に変えていきました。うつ伏せ寝の練習には特に神経を使いますが、やはり、うつ伏せの方がぐっすりと寝てくれます。またうつ伏せ寝に比べて仰向けだと、赤ちゃんのお腹がすきやすいような気がします。仰向けの時は夜中にお腹がすいて泣いてしまい、ミルクを飲むとすぐに寝ていました…。
 また我が家では、寝る前はなるべく母乳やミルクを飲ませ、いつもα波が出るというクラシックのCDをかけていました。
 カープ博士が提唱されている安眠のための方法を意識しながら色々と試してきましたが、やはり、毎日「規則正しい生活」を繰返すと、赤ちゃんは自然とぐっすり眠るようになるような気がします。いろいろ手を凝らしても「生活のリズム」が整わないとダメそうです。生活のリズムは6番目に必要な要素かもしれません…。

以上、上手な赤ちゃんの寝かせ方について、赤ちゃんを持つお父さんお母さんのお役に立てば幸いです。

ご参考まで…、128番目の記事にも赤ちゃんの夜泣き対策の記事を書いております?

2008年1月31日薬煎院薬局から

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