清肺排毒湯?

2020年3月10日薬煎院薬局から

記事に入る前に
以下は科学的根拠が無く飽くまでも仮定を前提とした話であり、私(筆者)の個人的な見解を乗せています。ただし昨今の新型コロナウイルスの流行によるトイレットペーパーの買い占めなどの引き金となったような悪質なデマの誘発を目的として書いたものではありません。家庭の中でできる対応について薬剤師の視点から書いたものです。

インフルエンザに対して、抗インフルエンザ薬のタミフルやリレンザと同等に漢方薬の「麻黄湯」が効くという論文について、2008年にこちらのブログで記事を書かせて頂きました。その後、国内の色々な病院や研究機関で追試や検証実験が行われ、確かに麻黄湯(葛根湯)がインフルエンザに有効であるとのデータが沢山得られるようになりました(実際、日本の厚生省もその効果を認め、ある漢方薬メーカーの医療用の麻黄湯の効能効果に「インフルエンザ」が明記されています)。

これらの知見を基に、こちらのブログでキッズプレイスには、「インフルエンザになったら」という記事をブログに数回にわたって投稿させて頂き、ご家庭で日ごろから麻黄湯(葛根湯)を準備しておき、人混みや体に変調をきたした時点で直ぐに服用することによってインフルエンザの発症を抑えることができることを紹介してきました。

その際の要点として、タミフルやリレンザおよび麻黄湯(葛根湯)など、どのような薬もウイルスが体内で増殖し始めようとしている初期の時点で服薬しなければ効果が得られ難いということです。服薬のタイミングが遅れて体の中でウイルスが増殖しきった状態では十分な効果をもはや期待できません。この点は特に重要なポイントであり、麻黄湯(葛根湯)も含め、感染直後もしくは感染前に服薬しておかなければ意味がないということです。
例として、インフルエンザの場合、病院ではまずウイルスの検査キットを用いてウイルスの存在を確かめたのちに抗インフルエンザ剤が処方されますが、検査キットで陰性の場合は「明日また来てみてください」と言われて様子を見ることになります。次の日に受診して検査キットで陽性が出るということは体内でウイルスがかなり増殖している訳であり、この状態ではもうどの様な薬を飲んでも十分な効果は期待できません。
上の例でもそうですが、新薬(病院で出される薬)はウイルスの存在が特定されなければそれに対応した薬は基本的に処方されません。これに対し漢方薬は「未病」に用いるという考え方があります。未病とは病気になる前の段階(症状が発症する前の段階、ウイルスであればウイルスが増殖して症状が出始める前の段階)であり、ウイルスに罹ったかも知れない思った時点での服薬が可能です。

麻黄湯(葛根湯)は数千年の昔から「風邪」の薬として用いられてきましたが、ここで風邪と一言にいっても、インフルエンザウイルスを含めた「風邪のウイルス」は200~300種類あることを皆さんご存じでしょうか。インフルエンザウイルスや今まさに問題となっている新型コロナウイルスもこのようなウイルスの一種です。

新型コロナウイルス(COVID-19)に対して、中国政府の国家機関(中国国家中医薬管理局の2月19日付け発表)は「清肺排毒湯」という漢方処方が有効であると報告しています。この処方の効果について中国国家中医薬管理局は、
「10省57指定医療機関で701例を投与して観察した結果、130例(19%)が治癒して退院、51例(7%)で症状が消失し、268例(38%)で症状が改善し、212例(30%)は症状が安定し悪化しなかったという。 そのうち351症例が詳しく分析され、うち112人の患者の体温が37.3°Cを超えていたところ、服薬1日後で51.8%、服薬6日後で94.6%の患者が平熱に戻り、また、咳症状214人のうち46.7%が服用して短期に改善した。
また、だるさや吐き気、のどの痛みなどの症状にも顕著な治療効果が見られた。351例の中でひとりも、軽度の患者も普通の患者は重篤にはなっていない。(出典Wikipedia)」とのことです。

清肺排毒湯とは「日本の漢方でも知られる麻杏甘石湯(マキョウカンセキトウ)、射干麻黄湯(ヤカンマオウトウ)、小柴胡湯(ショウサイコトウ)五苓散(ゴレイサン)らの漢方薬を混ぜて新しく作った(原文には融合创新(融合創新)とある)ものである。(出典Wikipedia)」となっています。

つまり、清肺排毒湯は麻黄湯と同じく生薬の「麻黄」を主剤としていて、それだけではなく、炎症を抑えることを意図したと思われる生薬の柴胡を取材とした小柴胡湯、体内の水分調整するためと考えられる五苓散を組み合わせられています。その効果は、解熱作用に優れ、服薬直後から新型コロナウイルスによる発症に対して効果が認められています。中国国家衛生健康委員会と国家中医薬管理局は、清肺排毒湯の使用を推奨するむね中国全土に通達(出典Wikipedia)しています。

Wikipediaには、「中国政府当局は中医薬と漢方薬は別の物だとの認識に立っている。」と記載されているが、日本で用いられている漢方薬は中国の漢方薬である中医薬と用いる処方や生薬は基本的に同じものです。

新型コロナウイルスは未知であるが故に恐れられていますが、ワクチンや特効薬が開発されるまでまだまだ時間が必要です。
清肺排毒湯については、厚生省が認めない限り薬局などでは漢方薬として処方できず購入することもできません。それ故、これは飽くまでも個人的な提案となりますが、未知のウイルスに対処するためにも、万が一に備えてすぐに服薬できるように、少なくとも麻黄湯などの漢方薬をご家庭で常備しておいた方が良いのでないかと思われます。大切な家族を守りたいという一心から、少なくとも私の家ではそのように対処しています。

また新しい知見などが得られましたらブログで紹介させて頂きます。皆様もくれぐれもお気をつけてお過ごしください。

 

追記 ***2020年4月29日***
金沢大学附属病院漢方医学科の小川 恵子先生が新型コロナウイルスに対する清肺排毒湯について日本の承認済み漢方薬による代用方法を報告されています(日本感染症学会)。

2020.4.21 日本感染症学会 <(特別寄稿)COVID-19感染症に対する漢方治療の考え方(改訂第2版)および(寄稿)中国におけるCOVID-19に対する清肺排毒湯の報告>より

小川先生によれば、麻杏甘石湯+胃苓湯+小柴胡湯加桔梗石膏を併せることにより清肺排毒湯の代用が可能であると述べられています。これであれば日本の漢方薬局でも作ることが出来ます(この記事を書いている私の薬局でも作ることができます)。

また、小川先生の改定第2版の5ページには「さらに、中華人民共和国国家衛生健康委員会の2月の発表13)では、清肺排毒湯での治療を確認済みの701症例のうち、130症例が治癒および退院し、51症例の臨床症状が消失し、268症例の症状が改善し、212症例が悪化せず安定した症状改善を示したと報告されています。COVID-19に対する清肺排毒湯の効果的な治癒率は90%以上です。」と記載されています。

私の家族は早速、麻杏甘石湯+胃苓湯+小柴胡湯加桔梗石膏による煎じ薬の清肺排毒湯を準備して新型コロナウイルスに備えています(煎じ薬であれば無添加なので子供にも安心だからです)。

このブログをご覧の皆様も是非、このような薬(清肺排毒湯)があることを知ってコロナウイルス対策に役立てて頂きたいと思います。

2020年3月10日薬煎院薬局から

Posted by 葛根先生