おねしょの薬
今日のお話は小さいお子さんというよりは、小学校から中学生ぐらいのお子さんを対象としたお話です。
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おねしょは夜尿症(小児夜尿症)とも言いますが、おねしょに効く薬があるのをご存じでしょうか。おしっこを止めるのですから体に悪影響があったり、副作用がありそうな感じがすると思いますが、別に危ないお薬ではありません。
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キッズプレイスの薬局にはいろいろな方が相談に来られますが、小学生や中学生をお子さんに持つお母さんが、子供のおねしょが治らなくて困っていると相談に来られることがあります。
不思議なことに一度同じような相談があると、立て続けに同じような相談が続くことがあります。少し前には、小学校高学年や中学生になると修学旅行があるので、お母さんが心配されてこれらる時がありました。
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さて、おねしょの薬ですが、漢方薬に「小建中湯」(しょうけんちゅうとう)というお薬があります。安全なお薬で「おねしょ」に効きます。またこのお薬はおねしょ以外に小さなお子さんの疳の虫(かんのむし)にも用いられます。
小建中湯はお腹を温める効果のある生薬が入っており、さらに麦芽糖が沢山入っています。比較的甘いので、お子さんにも飲みやすい漢方薬です。
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なぜこの小建中湯がおねしょに効くかといいますと、大人でも冬寒い所にじっとしているとトイレ(おしっこ)に行きたくならないでしょうか。
実は人間にとって体が冷えることは、予想以上に非常事態なことであり、頭で考える意思に関係なくおしっこがしたくなります。
ヒトは体が冷えると、自律神経が働いて、おしっこを体外に排出して必死で体温を保とうとします。
おしっこが体内に溜まっていると、不要と分かっていても体にとっては保温し続けなければならず余計なエネルギーを浪費することになります。このエネルギーの浪費をくいとめるために、いらないおしっこを体外に出そうとします。これが寝てる時に起これば「おねしょ」になります。
つまり、寝ているときにお子さんの体が冷えると(または冷えやすい体質の場合)、体温を保とうとして自然とおねしょが出るわけです。冒頭でおねしょを夜尿症とも書くといいましたが、むしろ病気ではなくて自然な体の反応とも言えます(もちろん体が虚弱で冷えやすい体質の場合は、反射的というより病的なおねしょが続きます)。
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小建中湯というお薬は、麦芽糖で体にエネルギーを補給しつつ、生薬成分が体内から体をを温めることによって、おしっこの排せつを防止します。エネルギーが供給され、体がポカポカしていれば、体にとっておしっこを外に出す必要もなく、おねしょも無くなるわけです。
少し回りくどかったかも知れませんが、こんなお薬もあるというミニ知識でした。小建中湯は神経の高ぶりを抑える効果のある生薬も入っているので疳の虫にも用いられますが、虚弱体質でお腹が冷えて下痢しやすい人には、子供に限らず大人にも用いられます。
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一方、小さいお子さん(4?8才位)の場合は、夜中にトイレに連れて行っておしっこさせると自然とおねしょをしなくなるようです。個人差もありますが、おねしょをする時間は、大体いつも同じ時間のことが多く、例えば、夜9時頃寝るお子さんで、いつも午前12時ぐらいにおねしょをするようでしたら、午後11時ぐらいにトイレに連れて行っておしっこをさせるようにするとよいと思います。
このような習慣づけをおこなっても、おねしょが続くようでしたら、寝ているときにお子さんの体(特にお腹)が冷えないように「腹巻(はらまき)」などを活用するとよいかも知れませんね。
これから暖かくなるとお子さんが布団を脱いで寝てしまうことが多くなると思いますが、こんな時、腹巻は何かと重宝します。参考までに、以前書いた「はらまき」の記事がありますので、よろしかったらこちらをご覧ください。
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大人でも(特に女性)子供でも体が冷えると虚弱体質に移行したり、いろいろな病気に罹りやすくなるので注意して下さいね。