お子さんの夜更かしに…

2007年11月17日薬煎院薬局から

キッズプレイスのお子さんのために、子育てに役立ちそうな情報を薬局からブログに流させて頂いてます。私は父親として子育て参加中の薬剤師です。子育てでお悩みがあれば知恵を絞って回答させて頂きます(もちろんお金はかかりません ^^;。

今回はお子さんがなかなか寝付かなかったり、夜更かしをして困る、また夜中に起きて夜泣きをして困る。といった場合の対処として、ポピュラーで効果がありそうな情報を書きたいと思いパソコンに向かっています。

この方法の対象年齢は、子供(2才?)に限らず大人まで応用可能です。大人でもなかなか寝付けなかったり、熟眠できない方は(人によって個人差があると思いますが)、科学的根拠に基づいた簡単な方法なので、試されるとよいと思います。

その方法とは、寝る3?4時間前ぐらいに牛乳を飲むということです。あまりにも簡単なのでウソ臭く聞こえるかも知れませんが、牛乳を飲むと熟眠できるということが実験的に証明されています。データ的には200ccの牛乳を飲むと、お酒を飲むより質の高い睡眠が得られることが分かっています(統計学的な有意差あり)。

ヒトの脳ミソは、ニューロトランスミッターと言われる神経伝達物質でコントロールされています。研究の結果からいくつかの種類が見つかっていますがその中に、セロトニンと呼ばれる物質があります。セロトニンが脳内で分泌されると人はとてもリラックスした気分になり眠気を感じます。緊張を鎮めて眠気を誘うセロトニンは、体の中でトリプトファンというアミノ酸から作られるのですが、牛乳にはこのアミノ酸が多く含まれています。

牛乳を飲んでも、体の中で直ぐにはセロトニンは作られませんから、寝る3?4時間前ぐらいに飲む必要があります。お風呂上りに牛乳をコップ1杯ぐらい飲むと徐々にセロトニンが分泌され、お布団の中に入る頃には徐々に眠たくなってくるでしょう。お風呂で失われた水分補給にも牛乳はもってこいですね。
どのくらいの量の牛乳を飲むと良いかは、個人差があるのでいろいろと試してみる必要があるかもしれません。また体の中でセロトニンが作られる時、ビタミンB6を必要とします。通常の食事をしていればビタミンB6は十分取られていると思いますが、牛乳だけではどうも苦手と言う方には、ビタミンB6を含むバナナやピーナツなどを一緒に食べるとよいかも知れません。
牛乳は、カルシウムが含まれているため、神経の興奮も鎮める働きが期待されます。余談ですが、不眠症の方のための漢方薬には、カルシウム源として牡蠣の貝殻や竜骨と言われる石膏成分が少量使われます。神経質な方にも牛乳のカルシウムはお勧めです。

どうですか、牛乳飲めそうですか?いろいろ考えると牛乳は朝飲むより夜飲んだ方が良いのかも知れませんね…。どちらにするかは読者の方にお任せします。

なお、最近はサプリメントによってトリプトファン等の必須アミノ酸やビタミンB6を手軽に求めることができますが、私自身は、基本的に病気以外でのサプリメントでの摂取は感心できません。食事や牛乳のように自然な形でバランスよく体に摂るのが一番だと思っています。少々専門的な話になりますが、純度の高いアミノ酸やビタミンを単体で体に補給し続けると、腸管膜における吸収機能自体が低下していく(ダウンレギュレーションのようなことが起きる)のではないかと危惧しています。特に小さいお子さんにへのサプリメントは気をつける必要があると思います。

2007年11月17日薬煎院薬局から

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