お子さんが発熱の時にやってはいけないこと

2007年12月6日

 これから本格的な風邪の季節を迎えますね。今日は、お子さんが風邪をひいて発熱した時に特に気をつけるべきこと(最低限知っておいてほしいこと)について触れておこうと思います。

 子供は元気ですから、寒い外でも元気よく遊びますが、汗をいっぱいかいてそのままにしておくと、汗の気化熱で体温が奪われて体が冷えてしまいます。また冬はお風呂から上がった後で頭を良く拭いてあげないと風邪をひきやすくなりますから注意が必要です。特に空気が乾燥する冬は、外から帰ったら手洗いの他にうがい(嗽)なども重要ですが、いろいろと用心していても、もしお子さんが夜中に急に発熱したら、お父さんお母さん方はどうされるでしょうか。

 39℃位まででお子さんが比較的元気そうであれば、タオルで頭を冷やすなどして少し様子を見た方が良いのですが*、40℃を超えるようであれば小児科に駆け込む必要があります。近くに病院がなくて次の日の朝に行かれるのであれば(待てそうであれば)薬を飲ませることになりますが、そんな時、決してやってはいけないことがあります。

*乳児の場合は直ちに小児科(急患センター等)に行くようにしてください。乳児の38℃の熱はかなり重篤です。

 ごく当たり前のことですが、「大人用」の薬を与えてはいけません。「分量を減らせば大丈夫」と思って飲ませると、取り返しのつかない大変なリスクを冒すことになります。初めてのお子さんであれば、心配になって急患センターに行かれる方も多いのですが、2人目、3人目のお子さんとなると父さんお母さんも慣れてしまい「大人用の薬をあげて様子を見よう」と思われるかも知れませんが、そこに大きな落とし穴が潜んでいます。

 お医者さんや薬剤師なら知っていることですが、お子さんが風邪の時に(特にインフルエンザ等の場合)「アスピリン」のような(サリチル酸系の解熱剤が入った)薬を与えると、稀に「ライ症候群」という重篤な症状をひき起すことがあります。アスピリンに限らず、サリチル酸ナトリウム、サザピリン、サリチルアミド、エテンザミド等の薬剤も15才以下の子供には使ってはいけないことになっています。
 (余談)誤解のないように、「ライ症候群」は、ハンセン病の昔の呼び名の「ライ病」とは違います(こちらはライ菌による感染症です)。ライ症候群は、急性の脳浮腫や肝等への脂肪浸潤などを引き起こす、死亡率が高いものです。
 さらに付け加えて、「ピリン系アレルギー」などのように、ピリン系の解熱鎮痛剤に敏感な人がいますが、アスピリンはピリン系ではありません。ピリン系とはピラゾロン骨格(分子構造)を持った薬をいい、アスピリンはこの骨格を持っていません。

 特に子供がインフルエンザにかかると(インフルエンザの場合は、急に40℃近い熱が出ます)、適切な手当てを行わないと病態が急変して最悪の場合死に至ることもあります(およそ2日)。そうならないためにも子供が熱を出したらお医者さんに掛かるのが一番です。そしてもし、ご自宅でお薬を準備されるなら、せめて「小児用」と書かれた風邪薬か解熱剤を大人用とは別に準備するようにしてください。小児用には安全性が高い「アセトアミノフェン」という解熱剤が入っていて、この薬は日本小児科学会でも推奨されています(アセトアミノフェンは大人にも安全な薬です)。そして小児科に行ったら薬を飲ませたことを必ず先生に伝えてください(これは薬の二重投与を避けるために必要なことです)。

 最後に、解熱剤(げねつざい)は役に立つ薬の1つですが、取り扱い方がやや難しいところがあります。子供では比較的少ないのですが、解熱剤を飲むことにより、稀に喘息がひき起されることがあります。「アスピリン喘息」などと呼ばれています。「アスピリン喘息」はアスピリンだけで起こるものではなく、いろいろな解熱剤(NSAID)で起こり、喘息患者の10人に1人はこの「アスピリン喘息」といわれています。喘息がちでドラッグストアーで薬を買って飲んだら、余計にひどくなった経験のある方は疑ってみる必要があります。